随分前ですが、宮尾登美子作[松風の家]を読みました。

本筋とは別に印象深かったのが、茶道の家元に嫁ぐことになった養女に、
義母が、「人に対する心得」を言い聞かせる場面です。

一に言葉、二にお金。

表現は違いますが、意味合いはおおよそ次のようなものです。

——まず、人には言葉をかけなさい
通りで知り合いが歩いてくるのが見えたときも、あの家に祝儀や不祝儀がなかったか、
何か世話になったことがなかったか、思い返す。
顔を合わせたら、お祝いなりお悔やみなりお礼なり、すぐに言葉をかける。
使用人にでも、誰に対しても、言葉をかけることで、
「私はあなたの事をちゃんと気にかけていますよ、思っていますよ」と相手に伝える。

——次に、お金を使いなさい
お金(物)だけでは、お金さえ出せばいいと考える人、何でもお金で済ませる人、と思われる。
いつも言葉だけでは、口は重宝なもの、口はタダだから、口先だけ、と言われる。
言葉の次にお金も使いなさい。
だけどあまり使いすぎては却って相手に侮りを受ける。おもねっているように取られる。
他の人より少しだけ多めに使いなさい。

一に言葉、二にお金。
処世術のようですが、一面の真理だと思います。

 

 

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