福岡市の税理士・世利です――
たったっ、たしなみっ?
タイトルにドキッとして、迷わず購入した、
白洲正子女史(女史と付けずにはいられません)の随筆集です。
以前にも数冊は読んでいますが、自分の年令を忘れ、
叱られている子供の気分になって正座したくなります。
というほどに、
その揺るぎない美意識。その造詣の深さ。決して妥協しない率直さ(辛辣さ?)
たしなみ=心がけ=と思うと、
「日頃の心がけが……何しろ用事が多くて……」
先に弁解したくなる至らぬ我が身ですので、ドキッとするわけです。
内容はもう、私ごときがアレコレ言うこともなく、
そもそも知らないことだらけですから、感嘆しつつ読了しました。
そしてこの方の文章の、無駄を削りとった端正さ。
言い回しは高雅で現代風ではないのに、歯切れがよく、とても読みやすい。
巧拙の問題ではなく、これも美意識が成せる技のように思います。
しかし、何にどう感応するかによって、
世界はまったく違うものとして眼に映るのだろうと想像すると、
「ちょっとその眼をお貸し頂けませんか?」と言ってみたくなります。