あまりにも有名な、
週刊新潮の表紙絵を長年お描きになった画家・谷内六郎。

この方の絵の世界がとても好きです。

子供が潜在的に抱く、寄る辺なき者であるかのような心もとなさ。
子供は小さく弱く、ある年齢までは大人に頼るしかありません。
夜の闇も、木樹のざわめきも、家鳴りも、自分を脅かす怖いモノです。

谷内六郎が描く風景は、ことごとく郷愁をかきたてるのですが、
(なぜか、自分が実際には経験していない事柄でさえも……)
それと表裏のように[存在の根源的不安]とでもいうものを感じさせます。

皮膚がむけて、その下がむき出しになったような、
痛々しいような感性の方だと私には思えます。

小説でも絵でも、作品以外、作者のバックボーンに関心はないのですが、
どういう幼少期を送られたのだろう、と想像してしまいます。

この感性で現実生活を送られるのは、
想像を超える苦難の連続ではなかったでしょうか。

ですが、おそらくその苦闘ゆえに、素晴らしい作品を生み出され、
多くの人に、その絵と向かい合う至福のときを与えました。

谷内六郎の絵は、五月の澄みわたった空のように美しく、
生きとし生けるものの悲しみに満ちていると、私は思います。

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。