下京や 紅屋が門を  くぐりたる
            男かわゆし 春の夜の月

与謝野晶子の歌です。

明治時代に臆せず「男かわゆし……」とうたいあげた。何てカッコイイ!

仕事をし家庭を持ち11人の子供を育て、海外にも行き、
全力ですべてを手に入れたアッパレな歌人です。

この歌の男性は、人目をはばかって、月が出る薄闇のなか、
恋人に贈る口紅を買いに来たわけです。
(今なら、コスメショップに行くという、男性には勇気が必要ですね)

春の宵に、今から逢いにいく人のために、紅を買い求める。
情感あふれるワンシーンです。

――いそいそと早足で、春爛漫の心のはずみ
手にした口紅の包みに、桜の花びらがひらっひらっ――

これほどの歌を二十代で詠んだ与謝野晶子。
眩しいほどの才能です。


福岡ではもう桜が咲きました。
ただひたすらに美しい。

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。